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自由・平和・民主主義を愛し戦争法案に反対する名古屋大学人の会

 

戦争法案に反対する声明

 

2015年8月29日

 

 

 大学はかつて兵器を作った。

 大学はかつて兵士を送った。

 大学はかつて知識を供出した。

 大学は、かくして戦争に加担した。

 

 それは国家が要請したものであったと同時に、かつての大学人たちが進んで行ったことでもあった。勇気なく、あるいは気づかぬうちに戦争を支え、知性と良心の声を窒息させた。戦渦は、内からも来る。その過去を、私たちは忘れない。

 

 先の大戦後70年の「平和」は、曲折や翳りを含んでいる。平和の理念も、過去の反省も、個人の人権も、言論の自由も、学問の自律性も、つねに挑戦を受け、ときに自ら傷つけてさえきた。「戦後」は、平坦ではなかった。

であればこそ、現在進行している危機に、私たちは黙してはいられない。

 

 いま集う「私たち」は多様である。

 世代を異にし、性別を異にし、国籍を異にし、立場や宗教や思想を異にする「私たち」は、しかし自由を尊び、平和を愛し、民主主義を尊重するという点において結集する。自立した個人として、対話を重んじる理性的市民として、知の自律性に価値をおく学徒として、手を取りあう。戦争を否定し、平和を求めるすべての人たちとの連帯を求める。

 大学が自由と平和と知の拠点でありつづけることは、私たちの理想であり、誇りである。「名古屋大学平和憲章」で不戦を誓った知性は、学びの日々が戦火につながることを許さない。私たちは、この灯を決して消さない。

 

 私たちは、日本と世界の人々の前で、日本国政府に次の約束を守ることを求める。

〈日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。〉(日本国憲法第九条)

 この言葉の意味と価値を、私たちの同意なしに変えることを認めない。私たちは戦争法案に強く反対する。

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