名古屋大学人の会
名大アゴラ プログラム
SCHEDULE
Jan 25, 2019
米中関係のなかの日本、日本のなかの米中関係
名大アゴラ 第17回 定形 衛 氏セミナー
今日、米中関係は国際秩序のありよう、そして国際社会の今後の進むべき方向性を大きく規定している。報告では、トランプ大統領の「アメリカン・ファースト」戦略と習主席の「一帯一路」路線に示される中国の新たな国際秩序観の間の相克と軋みに着目し、グローバル時代における米中関係の意味と行方について考えたいと思います。また、このような米中関係の進展のなかにあって日本の進むべき道はどこにあるのか。歴史的、地政学的に隣人同士でありつづける日中関係、また太平洋を隔てた隣国米国と「緊密な関係」を維持し続けてきた戦後の日米関係。この両者のあいだで日本外交は自らの位置をどのように定め、国際的な使命と役割を確立していくのか。日本外交が国際政治の従属変数ではなく、独立変数として自らの使命感と存在感とを示すチャンスが訪れていることを私たち一人ひとりが自覚し、躍動感あふれる日本外交を作りだしていくことが何よりも求められている。
Dec 15, 2017
フェイク・ニュースとポスト真実の時代
名大アゴラ 第12回 日比嘉高氏セミナー
嘘を付き続ける政治家が当選し、虚偽の主張を掲げた党派が勝利し、フェイク・ニュース(デマ・ニュース)がネットで拡散する。嘘が、嘘だと露見しても、相応の報いを受けることなく事態は続くーー。
こうしたことが日本だけでなく、さまざまな国で起きています。真実がかつてのような力を持ち得なくなってしまった時代、それを「ポスト真実」の時代と呼びます。この言葉は、イギリスのEU離脱の国民投票の際に注目度が上がり、アメリカでトランプ大統領が選出された選挙戦のなか、そして選出後の騒ぎの中で脚光を浴びました。日本の状況もまさにその真っ只中と言えるでしょう。
なぜ嘘がまかり通るのか。このセミナーでは現代のネット環境や、事実軽視の風潮、感情が優越する状況、社会的な分断の感覚などに注目しつつ、その背景を探ります。またあわせて、騙されないため、分断を乗り越えるための現代的リテラシー(読み書き能力)についても考えます。
Oct 08, 2017
立憲デモクラシーの危機を超えて
名大アゴラ 第11回 長谷部恭男氏・高山佳奈子氏セミナー
集団的自衛権行使の「部分的」解禁を政府解釈の変更で強行した安倍政権は早くも、2020年(東京オリンピック)までの9条改憲の実現を追求し始めています。戦力不保持を定めた9条2項を残したまま、3項を追加して自衛隊の合憲性を明確化する案だと伝えられていますが、このようにご都合主義の改憲は、日本国憲法の整合性・一貫性(integrity)を徹底的に破壊する恐れがあります。
「共謀罪法」の強行採決は、内容・手続の両面で立憲主義への重大な攻撃といえます。テロ対策の内容を含まないのに「テロ等準備罪」を処罰するとする虚偽の呼び名は、民主主義の前提を掘り崩すものです。諸外国には設けられている、人権侵害を救済する機関も日本にはなく、国連特別報告者から疑義が出ています。
問題の本質を捉え、真実を広く伝えていくことが、立憲主義回復のこれからの運動として求められています。「アゴラ」ではこの課題に応えるため、最適な講師を揃えました。ぜひご参加下さい。
Jul 21, 2017
教育勅語の何が問題か?
名大アゴラ 第10回 石井拓児氏セミナー
森友学園の用地不正取得問題に端を発し、さらに同学園で「教育勅語」を暗唱させる指導が行われていたことが明るみとなったことをうけ、政府は一連の不正問題を解明しようとしないばかりか、閣議決定によって「憲法・教育基本法に反しないような形で教育に関する勅語を教材として用いることまでは否定されない」とする答弁書を作成しました。このことは、現政権が意欲を見せる「憲法改正」と連動するものであることは明らかですし、逆に、現政権の改憲戦略がいかに危険なものであるかを示すものでもあります。
あらためて総力戦体制への動員のために用いられた教育勅語の歴史的性格についてお話します。教育勅語の内容を、みなさんといっしょに読み解きながらわかりやすく解説する予定です。奮ってご参加くださいますようお願い申し上げます。